それが言い訳だとしても。

あなたのために歌おうと紡いだ言葉の行く先は

いつからか「誰か」に変わった。


伝えたい言葉の一つも

あなたにはもう届かないでしょう。

私の心しがみついたあなたは近くて遠い。


最期に見せた笑い顔の 後ろで流したやるせなさ

降りかかる夏の匂いで否応なく思い出しました。


伝えたい言葉は他にも

あなたにはきっとあったでしょう。

口を開けばよくわからない冗談で

隠していたことずっと気づいていたのです。



誰かの何かになる為に私は詩を紡ぎました。

それが私の贖罪だと、そんなことを理由にして。


誰かの何かになる為に私は詩を伝えました。

何も知らぬ誰かの裏 潜むあなた、言い訳にして。



言葉が出なくなりました。

心が動かなくなりました。

頭を起こすのも億劫で天井の模様なぞりました。


最近のこの世界は

そりゃあ何かと忙しなくて

そちらの世界はどうかな?

もう、そちらに往ってしまおうか

なんて、冗談

「なんてひどい冗談」って

あなたは笑うでしょうか?

笑ってくれたでしょうか…


伝えたい言葉の一つも

あなたにはもう届かないでしょう。

言えずじまいだった言葉を私は伝えます。

誰かの何かになる為に


それが言い訳だとしても。


あなたのために歌おうと紡いだ言葉の行く先は

いつからか「誰か」に変わった。


言葉が出なくなったとしても

それでも私はひりだします。

心が動かなくなったとしても

それでも私は力ずくで


誰かの何かになる為に


詩を 歌を


歌おう。